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渋谷の街で男たちが暴走、孤独と欲望描く映画『ろくでなし』京阪神で公開!

2017年8月13日

8月12日(土)より京阪神の劇場で、渋谷の街で男たちが暴走、孤独と欲望描く奥田庸介監督の新作『ろくでなし』の上映が開始された。関西での公開初日・2日目には出演の大西信満さんと渋川清彦さん 、監督の奥田庸介さんによる舞台挨拶が行われた。

 

映画『ろくでなし』は、大都会の片隅で追い詰められ暴走していく、ろくでなしな男たちの人間模様を描いたドラマ。凶暴な男である一真は渋谷の街で出会った優子に一方的に運命を感じ、彼女の働くダンスクラブの用心棒になる。クラブのオーナー・遠山の「仕事」を手伝っているヤクザのひろしは、これまで裏社会で飄々と生きてきたが、一真と行動を共にするうちに次第にシンパシーを抱く。ある日、優子の父親が多額の借金を残して急死してしまう。金銭的に追い詰められた優子に、クラブオーナーとは別の顔を持つ遠山が急接近。一真はそんな優子の事情を知り、ある決意をする…

大阪・十三の第七藝術劇場では、上映後に奥田庸介監督、大西信満さん、渋川清彦さんが登壇。 奥田監督は「本日はご来場頂きありがとうございます。関西に初めて来ました」と東北出身で初めての関西での舞台挨拶であることから緊張気味。渋川さんから「大西君が司会が得意なので」と第七藝術劇場に何度も登壇している大西さんに無茶振りしながら、舞台挨拶が始まった。

本作に対して、奥田監督は「何度も企画が無くなるかどうかの瀬戸際で闘いながら、ようやく上映し関西まで来れたので、様々な思いでいっぱいです」と感慨深い。これを受け、大西さんは「監督はトークが得意ではない。言いたいことは全て映画の中に詰め込まれているので、ご容赦ください」とフォロー。渋川さんは「この映画は渋谷でほぼゲリラで撮影したので、融通が利かず大変だった。大阪で言えば、心斎橋でゲリラで撮影している感じ。ややこしいことがあったが、それが映画に表れていると思うし、そこがいいところ」とお薦めする。撮影当時の奥田監督は、一般の通行者がカメラに気づくことが気になって仕方がなかった。「自分が鑑賞者だった場合、カメラを見ていることに気づくと醒めてしまうので、それだけは避けたいと思っていた」と奥田監督は釈明する。

 

大西さんは渋川さんに対し、共演者を好きになるかどうか伺うと、渋川さんは「彼女役がいると、少しは相手のことを好きになる。今回は、相手役の上原さんが女子高生だったが、そういう気持ちにはならなかった」と打ち明ける。逆に、大西さんは「好きになっていました。コミュニケーションが出来てこそ演じられるし、気持ちが通じる」と信じている。渋川さんは「大西さんは相手役である遠藤さんとほぼ毎晩呑みに行き、記憶がない状態に至る」と暴露する。これを受け、大西さんは「映画のタイトルが『ろくでなし』なので、体現していかないと。奥田監督は繊細であり、現場がピリピリした空気になるので、雰囲気が良くなるように心掛けた」と釈明。「遠藤さんや上原さんはオーディションで選ばれ、最初はお互いに物凄く緊張していた。どのようにすればチームとして良い雰囲気の中で進行できるかな、と1か月間模索していたような気がする」と打ち開ける。「人間関係が出来ていないと、芝居に隙間が見えてしまう。プロである以上、初対面でもやらなくちゃいけないことがたくさんある。時間的に贅沢をさせてもらった作品だったので、隙間を埋める作業ができたかな」と大西さんは思っている。

 

業界内では、大西さんと共演した女優さんは賞を取ると云われている。渋川さんは「大西さんが全力でぶつかっているから、相手もそれ応じて良い演技が出来る仕組みだ」と確信。これを受け、奥田監督は「元々、山本政志監督主催[シネマ☆インパクト]というワークショップが発端となった映画。遠藤さんは受講生だったので、大々抜擢になった。本人はかなり緊張していたようで、大西さんの気遣いによってリラックスして演技出来たんじゃないか」と思い感謝している。大西さんは「遠藤さんも上原さんもこの作品にかける思いは相当なものがあったと思う。それらを自分や渋川さんが受け止めて、どうにか良い形で作品になればいいな」と思っていた。

 

奥田監督は、朝4時から深夜3時まで撮影しヘトヘトになって帰って来た時のエピソードを話した。帰宅後に泥酔状態の大西さんから着信があり、自宅での呑み会を提案された。さすがにその提案は拒否し、街の居酒屋での呑み会を手配した。「大西さんは酔っ払った後、『俺は奥田組だからな』と話して寝てしまった。その後、遠藤さんと会話し、明るくなって大西さんをタクシーに乗せて帰した。大西さんは憶えていない」と暴露。これを受け、大西さんは「遠藤さんと監督がちゃんと話し合う機会を設けた」と弁明。奥田監督は「その日は遠藤さんがクランクアップの日で、どういう思いでこの現場に臨んだのか率直な気持ちを1人の友人として話を聞けたので良い時間だった」と思っている。

 

本作で大西さんと渋川さんは初めて同じ現場で共演した。大西さんは「10年以上前からの長い付き合い。お互い忘れた頃に連絡をしながら、関係がずっと続いていた。僕が渋川さんが所属する事務所に移籍し同じ作品に出ていたことはあるが、面と向かって芝居をしたのは初めて。僕自身にとっても感慨深い作品です」と話す。渋川さんは「決まった俳優同士で呑むことがそこまでない。大西君とはたまに電話で近況を聞くことがよくある」と返す。大西さんは「古い付き合いの空気感や連帯感、自然に積み重ねてきた人間関係が映っていれば」と嬉しく思っている。

 

共演者の大和田獏さんについて、奥田監督は「どういう姿勢で来るんだろうと未知数だったが、TVでの存在感にほれ込んで出演して頂いた。台本の読み合わせの段階から、ほぼ劇中のような雰囲気を出していた」と絶賛。渋川さんは「脚本を読めるので、台詞に書いてある通りに解釈し演技している」と分析。奥田監督は「頭がキレる方。こんな役を演じてみたいという思いがあり、メガネもご自身で用意頂いた。『楽しかったよ』と言って頂いた」と監督としても嬉しかった。大西さんも「現場で一番楽しんで芝居をしてくれた」と感じている。他の共演者について、大西さんは「毎熊克哉君は今様々な作品に出るようになって飛躍していっている。ワークショップからこの作品を経て様々な人が活躍の場を広げていくことになれば」と期待している。奥田監督は「上原さんは『初めて事務所の人に褒められました』と喜んでいた。この作品を観て、この子いいなと思ってくれる人がいたら」と楽しみにしている。大西さんは「そんなに大きな役ではなくとも、様々な方がこの作品に思いを込めて関わってくれた。それがいい形でちゃんと広がっていけば」と願う。

 

渋川さんは「いつも思うが、映画を撮ったのは1年前。東京で上映が終了して2か月経って、今は違うことをやっていることが不思議だ。思い返していくと、違う考えや思いも出て来るなぁ」と関西での舞台挨拶を通した思いを話す。奥田監督は「私は人一倍この映画でモメたので、様々な思いが渦巻いた。楽しかったことや悔しかったことがたくさんあり、一年経って、ようやく客観的に観れるようになった」と感慨深げだった。

 

最後に、奥田さんは「お客さんの皆さんによるSNS等の拡散力も大事。皆さんによる有難いお声がけをしていただければ」とお願いしながら、感謝の気持ちを伝えた。大西さんは「奥田監督は、こんな風に不器用な男ですが、自分たちで1つの作品をいっしょに作り上げたことで仲間だと思っている。また奥田さんに次の作品を撮ってもらいたいので、次作が制作できるように少しでもいい成績で終われるようご協力をお願いします」と思いを伝え、来場のお客さんに感謝を込めた。渋川さんから「ありがとうございました」と潔くまとめ、舞台挨拶は締め括られた。

映画『ろくでなし』は、8月12(土)から8月25日(金)まで大阪・十三の第七藝術劇場、神戸・元町の元町映画館、京都・東寺の京都みなみ会館で公開中。

キネ坊主
映画ライター
映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
最新のイベントレポート、インタビュー、コラム、ニュースなど、映画に関する多彩なコンテンツをお伝えします!

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