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鬼才キム・ギドク監督が日本で撮りたかった映画『STOP』!第七藝術劇場で公開!

2017年7月22日

7月22日(土)より大阪・十三の第七藝術劇場で、鬼才キム・ギドク監督が今、どうしても撮りたかった映画『STOP』の上映が開始された。公開初日には出演の中江翼さん、田代大悟さん 、プロデューサーも担う合アレンさんによる舞台挨拶が行われた。

 

映画『STOP』は、韓国の鬼才キム・ギドクが、東日本大震災に伴う福島第一原発の事故を背景に、若き日本人夫婦の葛藤を描いた社会派ドラマ。キム・ギドク自らが来日して監督・撮影・照明・録音の全てをひとりで担当して完成させ、その衝撃的な内容が世界各地の映画祭で物議を醸した。2011年3月11日、東日本大震災が発生し、福島第一原発がメルトダウンを起こした。原発から5キロ圏内に住んでいた若い夫婦は東京に移住するが、妊娠中の妻は放射能が赤ん坊に与える影響に怯え、正気を保てなくなっていく。ある日、彼女の前に謎の役人が現われ、強引に中絶を迫る。写真家の夫は妻を安心させるため、かつてと変わらぬ美しい自然や動物たちを撮影しようと福島へ戻るが、そこで驚くべき光景を目の当たりにする…

 

 

上映後、江翼さん、田代大悟さん 、合アレンさんが登壇。中江さんから「作品について、かなり重く感じたと思うので、出来るだけラフに行きたいと思います」とフリートーク型式で舞台挨拶が始まった。田代さんは「初めて外国の映画監督による作品に出演しました。言語の壁を気にしていましたが、監督自身は日本語が喋れず、合アレンさん等による通訳を入れながら撮影しました。監督が一人で撮影も照明も音声も担当する形式で初めて尽くしの現場でした」と振り返る。「作品のテーマは現在の日本が直面していることであり、傍にあるはずなのに通り過ぎてしまうことだったので、社会的な作品だが、自分がどれだけ表現できるか頑張った。私が演じたのは、政府の役人という謎の部分がある役だが、皆さんの心に残れば幸いです」と田代さんは感謝を伝えた。アレンさんは「私は、プロデューサーとして企画段階から困難を感じていました。監督がリュックに持てるだけの機材を入れて日本に来た時、熱い思いを感じた」とキム・ギドク監督の第一印象を述べる。「声なき被害者がたくさんいた事故だったので、私が演じた役は、人々が抱えた怒りや不安を象徴したキャラクターでした。試行錯誤しながら一緒に映画をつくる現場を共にして、俳優としても勉強になりました」とアレンさんは振り返った。中江さんは「韓国人の監督との制作なので、コミュニケーションは基本的にボディーランゲージ。通訳さんがいる時は経由し、撮影の現場で通訳がいないときは、Google翻訳を利用していました。朝一の打合せでは、Google翻訳を活用してコミュニケーションをとり、シーンの構成を作り上げていった」と振り返る。
中江さんは「僕が主演の候補に挙がっていると聞いたのが、クランクインの4日前、実際に監督に会ったのが2日前だった。台本を受け取って読み込み、内容がかなり重く、今のままでは演じる上での責任を負うには足らないと感じ、3日前にアレンさんと福島に行った」と打ち明ける。中江さんらは、当時の知事と会ったり、当時入れなかった場所を無理言って入れてもらいながら現地を全て案内してもらったりした。中江さんは「3年前の当時の様子から、震災当時の状況について全て伺って、2日前に監督に会いに行った。どういった脚本でどう思うかと議論し、どの役をやればよいのか聞き、その時点で初めて主役を依頼された」と明かす。田代さんは「テーマが難しいが、監督自身は、震災があった時から描きたいと思っていた」と考えている。アレンさんは「監督自身は、事故直後からこの脚本を書き始めていた。外国人の自分がこういう作品を世に出していいのか迷った末、3年後に制作を決めた」と監督から聞いた。田代さんから、お客さんに「キム・ギドク監督をご存知で本作を観ようと思ったか」と尋ねると、ほとんどの手が挙がった。田代さんは「東京・新宿での上映時にも、同じように多かった。現在、少しずつ上映劇場が増えており、口コミで作品が広がっていると感じている。皆さんにもぜひ広げてもらえたら」と思いを託す。

 

ここで、お客様からの質疑応答を受け付けた。矛盾がある作品の内容について尋ねられると、中江さんは「監督が今一番伝えたいことが今作のテーマになっているので、矛盾を通り越して伝わってくる力が監督にはあった。外国人が一人で異国に行って、現地のキャストを使って作品を作り上映するためには物凄いエネルギーが必要。最初に監督に話した時にそのエネルギーを感じた。もちろん矛盾は多く感じたが、それを無視してでも作品を前に進める力を持っていると直感した。矛盾については気にすることなく、現場で話し合いはするが、なぜか安心感があった」と応える。これを受け、田代さんは「本作はカメラ1台で監督自ら撮っていた。僕らはチェックができずに、東京で初めて完成したものを観た。最初は映画として成立するか不安になっていたが、第一印象としては、しっかりと撮れていると感じた。監督が撮影中から言っていた原発や電気についての想いが描かれていると思った。映像関係の友人にも観てもらったが『監督が映画の中のリアルとして伝えたいものが本作では描かれているから、これはこれで良いんだよ』と言われた時、監督がずっと言っていたことや電気に対しての怒りの想いが伝わっていれば良いのかな」と思っている。中江さんは「監督はいつ撮っているのか全然わからない。移動中にカメラを回しながら”撮っていたんだ、今”ということもけっこうあった。これでは衣裳が合わず話がつながらないと感じることが頻繁にあり、いつスタートでいつカットになったか全然わからなかった」と感じていた。これを受け、アレンさんは「監督は、時々モニターを見ていなくても撮っている場所が分かっていて、固定した場所に置いたまま撮れる」と感心する。田代さんは「キム・ギドク監督の作品は個性的だが、こうやって出来ているのかと感心させられる。役者ですが、監督の一ファンとして携われたことが幸せだった」と感慨に耽る。
最後に、田代さんは「映画自体のテーマについて、良いか悪いかではなく一人でも多くの人に観て頂きたいという想いで舞台挨拶にも来ました。映画の存在を知って頂きたい」とお願いしながら、感謝の気持ちを伝えた。アレンさんは「キム・ギドク監督は、本作が公開されることについて、批判が出ることを葛藤していました。監督は、本作が議論に挙がることが大事で、まだ6年しか経っていないことを忘れてしまう人間の恐ろしさに問題を提起したいと言っています。その中で作品に関われたことを幸せに思っています」と思いを伝え、来場のお客さんに感謝を込めた。中江さんは「本作は重いテーマがあります。3.11の地震は、人間だけでなく生物や地球にとって大きな事件の一つだと僕は思っています。例えば、100年後や200年後の方は、この大きな事件を教科書の一節として学ぶことになる。それだと、頭でしか理解できず、心では理解できないと思います。こういった映画を作ることで、100年、200年後の方が『当時の人はこんな怖い思いをしていたんだ、こんな恐ろしいことを考えて毎日生きていたんだ』と映画を通して心で理解できると思います。それは、映画が持つ良い面の影響力ではないかと思っています。そういう意味で、こういった映画を作ることによって、社会に少しでも貢献したいという想いがあったので、僕はこの作品を俳優として引き受けました。この作品が撮り終わって、かなり長い時間がかかってようやく上映することができ、やっとこの作品が完成したなと思っています」と感慨深げに感謝を込め、舞台挨拶は締め括られた。

 

映画『STOP』は7月22日(土)より大阪・十三の第七藝術劇場で公開中。7月22日(土)から7月 28日(金)は12:30~、7月29日(土)~8月4日(金)は21:00~、8月5日(土)~8月11日(金)は18:55~の上映、当日料金は一般・学生1,500円シニア1,100円となっている。

キネ坊主
映画ライター
映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する
映画好き。映画ライター講座を受講し
関西の映画情報サイトを中心に執筆