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『走れ、絶望に追いつかれない速さで』大阪・京都・神戸で上映 舞台挨拶開催

2017年3月22日

大阪・第七藝術劇場、京都・みなみ会館、神戸・元町映画館で映画『走れ、絶望に追いつかれない速さで』が公開。3月20日(月・祝)には各劇場で舞台挨拶が開催された。

走れ、絶望に追いつかれない速さで』は中川龍太郎監督の自伝的作品。漣と青春時代を共有した親友の薫が死に、薫が描き遺した絵には中学時代の同級生「斉木環奈」の姿があった。親友の死を受け入れられない漣は、薫にとって大切な存在であり続けた環奈に薫の死を知らせるため、彼女の元へ向かう決意をする。主人公・漣役に「ほとりの朔子」「桐島、部活やめるってよ」の太賀。中川監督の前作「愛の小さな歴史」から引き続いての出演となる小林竜樹、「ドライブイン蒲生」「愛を語れば変態ですか」の黒川芽以らが脇を固める。

第七藝術劇場では上映前に中川龍太郎監督、太賀さん、小林竜樹さんによる舞台挨拶が行われた。まず、中川監督より「2013年、23歳の時に一番親しかった大学の友人が自殺したことを基につくった」と説明し「東京での公開は昨年だったが、最後の最後に関西で上映出来て本当に良かった」述べた。太賀さんから「監督の実体験を基に演じた。大切な人を失う経験をしたことがなく、説得力のある表現をどうやってすればよいか悩んだ。中川監督と小林竜樹くんと一緒に想像力を以って闘いながら一生懸命につくった映画。温かい目で見守っていただけるとありがたいです。」と伝えられた。小林竜樹さんからは「中川監督の前作『愛の小さな歴史』の前に監督と出会い、その3日後に親友が亡くなった。映画を作るにあたって、彼のリサーチを行った。彼にお会いできず理解できないところが多々あったが、自身の想像力と監督からお話を聞き太賀と話し合ったことで作り上げた」と語られた。

自身の体験を映画にしたきっかけについて聞いてみると中川監督は「年齢が上がった時点で、その出来事について正確に描くことができるはずとは思っている。今から3年前(ご友人が亡くなった1,2年後)に撮ったことで、心の傷がまだ深い中で自分がまだ描き切れないうちに描きたい」と製作時の心境を述べた。また、「学生時代の友人は利害関係がないので一生の付き合いになる、と先輩方に言われていた。大学を卒業し社会に出てからだと友人をつくりづらい、ということになる。だとしたら、学生時代に仲の良かった友人が死んだら、これからどういう友人ができるのか」と当時の胸中を明かす。「その時、この三人で一緒に先が見えない中でどういう風に作れるのかと思ってやってみたかった」と意図を述べた。中川監督は「作品が完成した時、2人が亡くなった友人の代わりにはならないけれども、負けないような強い友情が芽生えたと思っている。作ってよかった」と現在の心境を述べた。太賀さんは「2014年、がむしゃらになれる時間があとどれぐらいあるのだろうと思って作品をつくった。同じ時代に同世代のスタッフ・キャストで一つの映画をボロボロになりながらやるというのは無茶苦茶いい経験になった」と当時を振り返る。「この後出会う人達とあの頃出会った僕らでは一つの絆の深度が違ってくる。映画を作ることができて胸が熱くなりました」と感想を述べた。

主人公の漣は感情を表に出さない複雑な役ではあったが、役作りについて、太賀さんは「辛すぎて感情を表に出せない。蓮は悲しみを表現できなくなった人間だと思う。自分が生きる意味を失って死に向かって行く先で見つけるものは何だったのか。そこに至る段階がある中で、監督とここは外さないでおこう、ここでこういうことをするまでの道筋を逆算して考えた」と応えた。

映画の中では、なぜ自殺したのかは明かされない。小林さんとしては「コレといった明確なものはなかった。彼が残した遺書や彼が日々つけていた日記を読み、生前の彼の映像を見せて頂いて取り入れるものは取り入れて、後は自分で作っていった」と役作りについて話した。

タイトルの由来について、中川監督は「元々、大学を卒業するにあたって進路を悩んでいた時に、この友人に連絡をしたら、英語で『Run faster than despair』とメッセージが返ってきた。キザなことを言うような人間ではないので、印象に残っていた」と当時の出来事を告白。「これを自分なりに訳した言葉が『走れ、絶望に追いつかれない速さで』だった。この言葉を言った人間が一番早く死んでしまうのは、自分の中でテーマとして引っかかっていた。今後の作品の大きなモチーフになっていく」と中川監督は語る。

舞台挨拶の最後に、小林さんからは「この映画は僕らの20代前半のスタッフ・キャストが一丸となって製作した映画です。観て頂いた感想を広めて頂ければうれしいです」と述べ、太賀さんからも「心に残ったことや引っかかったことをSNSや口コミで広げて頂ければ助かります。公開規模は小さくとも一生懸命に頑張った作品なので、何か残るものがあればなと思っています」と伝えられる。最後に中川監督より「これからも3人で一緒に映画を作っていきたいと思っています。また第七藝術劇場に戻ってこられるように少しずつ成長していきたいと思います」と舞台挨拶は締め括られた。
走れ、絶望に追いつかれない速さで』は大阪・第七藝術劇場では3月31日(金)まで、京都・みなみ会館と神戸・元町映画館では3月24日(金)まで上映される。

 

キネ坊主
映画ライター
映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
最新のイベントレポート、インタビュー、コラム、ニュースなど、映画に関する多彩なコンテンツをお伝えします!

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